ご挨拶

平成29年度総会において、前会長の大塚尚寛先生から第7代会長の職を引き継ぎました秋田大学の今井忠男と申します。

骨材資源工学会は、1969年4月に高度経済成長期の骨材需要の急増に伴い、砕石業界などの要請を受けて設立されました。爾来、骨材資源業はコンクリートと路盤材を支えるインフラ産業として、平成の初めには、骨材全体で約9億トンの生産量に達するまでの産業に発展いたしました。

現在の本学会は、骨材資源の研究者、砕石業、砂利・砂採取業、石灰石鉱業、建機メーカー、プラントメーカーや関連団体など会員約200人で組織されております。

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骨材資源工学会
第7代会長 今井忠男

本学会では、骨材資源産業の各分野について、①生産・保安技術、②品質管理、③公害防止・環境管理の3つの研究部門委員会を組織し、新たな技術開発や、今日的な本産業の課題等を研究すると共に、今後の骨材資源産業の方向性などについても議論を行なっております。

骨材資源産業の主眼は、天然資源の開発を永続的に続け、骨材を社会に供給することにあり、自然開発と環境保全とのバランスが最も重要な課題となっています。
世界的に環境の保全が重視されているなか、私共は骨材産業が持つ「環境破壊」という偏ったイメージを払拭したいと思っております。

例えば、山岳地域での採石場は、裸地を増やすだけでなく、採石場内に設置された貯水池を含んだ大きな集水機能もあります。それだけでなく、採石場周囲の崩壊危険性のある土砂は排土され、採石場に注ぐ沢水等は排水設備によって人工的に強化されています。

したがいまして、採石場は、その多岐の機能によって、洪水や土砂崩れを防止し、治水・治山事業にも貢献していると考えられます。さらに、河川での砂利採取は、河床の上昇を抑え、直接的に治水に寄与しております。このような骨材業の適正な事業の推進は、防災など地域への貢献につながることが正しく理解され、周辺地域の住民から『骨材事業場が身近にあって良かったね』といわれる自然環境を保全する産業への転換を目指しております。


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そのためには、開発(採掘・採取)と環境整備(集水・排水設備や緑化等)を並行して行い、地域の環境に調和させていくための骨材事業場のあるべき姿を模索し、システム全体の設計思想を描いていこうと考えております。

その上で、各事業場では、個々の条件に合った最適な設備や技術の導入が進められることを期待しております。
いま採石場では、生産コストの低い大型の砕石プラントから、生産メリットの少ない小型の自走式(モバイル型)の小規模プラントの導入が進んでいます。局所的な技術の最適性ではなく、採石場運営全体を考慮したシステム最適性が考えられるようになってきました。現在は、この産業の技術革新の時期に巡り合っているのかも知れません。

最後になりましたが、関係各位の皆様ならびに骨材生産現場の近くにお住いの皆様の、ご支援・ご協力を期待しますとともに、それに応えられる学会でありたいと思っております。

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